乙女企画クロジ☆第七回公演 僕の愛した冒険

新宿シアターモリエールで行われた公演を観に行ってきました。座席は約200で満員、かなりすし詰めな状況でした。舞台はセットがしっかり作り込まれてる感じで逆に舞台が狭く感じた。実際この状況で6人も役者が舞台に上がるんだからせせこましいことこの上無し。まあ6畳1Rの家が舞台なんでこんなもんでしょうか。ま、明日も公演があるのでネタばれは極力省く方向で。
ストーリーは26才のダメな夢見がちな厨二病全開のフリーターがNEETにクラスチェンジしていろいろあって自分探しの旅に出る、という改めてみると反吐が出そうな共感できない青臭い話です。正直言って序盤のうちに主人公の方のなよなよして芯の通ってないヘタレな演技に殺意を覚えるほど嫌悪感を感じたんですが、普通こういう気持ち悪い役を気持ち悪く感じさせてる時点で役者の勝ちなので素直にいい演技してると思います。実際のところ終始一部の隙もないだらしなさと廚二病っぷりに作り込んだ人物像を感じさせる演技で目の前に居たら殴るか徹底的に罵倒したくなるくずっぷりが素晴らしい。ちっとも褒め言葉になってませんが、かなり感心しています。殴りてえなあ。あと、もう一人の見た目チャラ男君なひとは見た目に反してちゃんとした人間ぽくってこれはどっちつかずな印象。そういう人物像であればそうなんでしょうが、だめに徹しきれなかったと見えなくもないのでちょっと評価が下がります。でも今回の役のなかで一番の常識人な気がする。というかそれ以外のすべての人間が頭おかしいとしか思えない。
どうも常識の範囲で起きる内容を描くのに常識外の人物を持って来てやたらと話を大きく見せようとする姿が鼻につく。言うべきことを無意味に隠して話を長引かせたり、嘘を吐いて話をこじらせたりするのはそんなにおもしろいものなんでしょうか。2時間の公演でしたが、率直に言って長過ぎる。あの探し物のシーンは笑いが起きていたんですが、私にとっては苦痛なおふざけにしか見えなかった。なんというかそこだけキャラクターが入れ替わったようなばか騒ぎ。まるごと削ってもかまわない内容の無さでメリハリとも言えない雰囲気の途切れ方は受け付けられなかった。まあ、少数派な意見と思います。
その他の方もそれぞれ個性的な演技でしたが、毎回ここの公演で思うところの福圓美里さんの下品さはすごいと思う。なんの躊躇も無くやっている感が役者だなあと感心する。客演っぽい若林さんも声の通り方すごくてピンポイントな出番ながら印象に残るキャラクターだった。そんな感じで役者に不満は無いんだけど、どうにも脚本が弱い。前回の感想にもおんなじこと書いたよう気がします。