容疑者Xの献身

ついでにそのまま観て来た。超映画批評の勧めに従って観なきゃ良かったかもな。小説だとやっぱり分かり難い情景描写は鮮明になってて分かりやすい。特に、途中で出てくる、昔の常連がダンカンな訳ですが、これがまたキャバクラ通いする人のいいスケベ親父という感じよく出ていて、キャストとしてはよく出来てたと思う。それと自転車が電動自転車になってて、ああアレなら盗難届もだすはずだと、感心した。ラストの母子で遊んでいるのがwiiテニスというのはちょっと笑った。家の中で楽しむには最適だよな。あとはよく知らん。けど余裕があるなら小説読んだ方が面白いと思う。



前の日記にも書いたけど、原作読破ずみだったので、(個人的に感じた)改悪部分を書いてみる。超ネタばれだけどな。

  • 女刑事うぜえ

TV版からのオリキャラらしいけど、芸能人にちっとも興味ない上に、原作のかなりドライな印象からするとこの存在がどうにも許容できん。湯川がすべて一人で完結しているからこそ、この小説の論理性のドライさがあるというのに、わざとらしい恋愛感情とかを挟まれると途端に普通の人になってしまうのがなあ。そもそもラスト前の研究室のシーンでは原作と真逆な会話してるのがなあ。

  • 雪山シーン

まるまる必要ない。というかアレがあるせいで石神の人間性が誤解される。あれで石神が湯川を殺そうとしているとか考えたら完全に石神の人間性が間違って伝わっている。原作を読んだものとしては湯川が生き残る、じゃなくて石神が殺すはずが無い、という解釈にしかならん訳であれをわざとらしい演出で殺しかけたなんて思わせるのは間違いとしか言い様がない。

  • 湯川のセリフが削られている

別に完全再現しろ、というのではなく致命的なセリフの欠如がある。湯川が石神を評して「人殺しなんて不合理なことはしない」というのはあったけど、それと対をなす「合理的であればどんな冷酷なこともやってみせる」というものがない。アレが無いと、石神がただの人道主義になってしまう。なんで削るんだろう。なにか?恋愛感情が論理を越えるとでも言いたいのか?

  • 娘の心情描写

娘は石神に好意的だったはずだが、なんかそこらへんあんまり描かれてなかったのがなあ。原作だと娘の行動が自首の動機っぽく描かれていたけどそこらへんまるでなにもないからなあ。そもそもそうでないと、石神の自首と泰子の自首のタイミングが合わなすぎる。そもそも娘を護るためにやった行動じゃなかったんかいな。

  • 最後の石神の慟哭のシーン

あれを理解してやる人間が一人も居ないんじゃ石神がかわいそうすぎる。なんだあれは。周囲の人間には石神が単に狂人にしか見えんぞ。