おしばい軍団もずくぁんず「天使は瞳をとじて」

仕事終わって、急いで築地駅へ。思ったよりも遠いな。それでも6時40分頃には駅に着いて会場の築地本願寺へ。
んで、構内にあるブディストホールへ入ってチケットを引き換えて入場。この公演はもずくぁんずとプラン・アクトゥールの二劇団の合同で両方のチケットを買うと割引な上に劇団員の集合生写真を貰えた。でもどっちかの劇団だけというのはどっちもらってもどっちかに悪い気がするな。もずくの方を貰いました。会場には花輪が並べられてて乱崎家一同からのがあった。
開演は10分押しくらいで始まって約1時間45分くらい。内容は超有名な脚本なので久しぶりにすごく普通な演劇を見たような気がする。最近は片寄った反体勢ものとか突飛なものばっかり観てたからな。ある意味安心して観てられた。こういうの観てるとたまに不条理演劇観たくなるから不思議。それはそれとして、演劇としての感想を書くとあんまり面白くなかった。はっきり言って演技としては初日というのを抜いても堅いし噛むし声は通ってない人居るしで、もうちょいどうにかならんかね、と書いちゃうとあんまり失礼かな。でもマスターと電通たろうのお二人は少し抜けて印象が強い演技されてたけど、他はそれほどでもなかった。ダンスや歌も見た目は派手だけどあんまり統一感無かったし、まだ慣れてなかったのかもしれないな。いろんな意味で楽日を観たくなって来たわ。
とまあ、かなり酷い書き方したけど、それほど演技が悪かった訳じゃない。それよりなにより演出が肌に合わなかったのが大きい。アニメの演出家としての下田正美氏は嫌いじゃない、というよりも好きな部類に入ると思う。意識して見てた訳じゃないけど、監督作品のセイバーマリオネットシリーズとかナジカ電撃作戦は全部DVDで持ってるし、ゼーガペインもいつかはDVDで揃えようとも思ってたりするんだけど、なんか舞台演出としては私の好みではないらしい。具体的にどこら辺か、といえば舞台以外で演技してるところと場面転換のメリハリの無さ。基本的に役者が舞台から降りてくる、という演出が大っ嫌い。なぜなら役者と観客の距離に格差が発生するから。極端な言い方すると客席というものを意識して作ってないと感じる。客席というのは基本的に同じ方向を向いて作られたものであり、すべての客に対して同じものを見せるというのが表現者としての責務だと思うが、ああいう事をやられると、ある役者を見ている間、確実に視界に入らない役者や演出が発生する。それは客に対して失礼だし出演者として必要の無い演技なんてものは存在しないと思うんだが、演出家としてどう考えてるんだろ。だいたい舞台ですら見づらい角度があるのに客席の高さまで降りたら全く見えない場合もあるとなったら、あきらかに見られる意識が足りてないと感じる。もう一つの場面転換のメリハリの無さについては、暗転を使わない、という事に尽きる。暗転を使うというのは安易ではあるが、効果が高いので敢えてそれを使わない、というのは意欲として分かるけど、今回みたいなのは逆効果に過ぎると思う。ダンスや歌の間に荷物を動かしたりして場面転換したようにしてるけど、それをキャストが衣装のまんまやるってどういうことだ。スタッフが居ないというのならしょうがない、とは思うがそれだと役者が舞台上で演技以外やってるというのを見せるって手抜きを通り越して白ける。暗転中にやるなり、黒子衣装を着るなりして役とスタッフを切り離すくらいの徹底がないとほんとに見てていらいらする。仮に乱暴な殺人鬼役が居たとして殺人の後のシーンでちまちま椅子運んでたりしたら観てる側はどう思うか。客にそこを切り離すよう要求するつもりならほんとの意味で演出家の神経を疑う。まあ極端な例だけど舞台上っていうのはそれくらい隔絶した作り上げた空間であるべきだと思っているので今回の演劇はほんとに演出として不満かつ不快。言ってしまえば手抜き感満載。役者の演技に対して失礼とすら感じる。
そんなこんなでとにかく役者の演技以前の問題があって、どうにも感想がとげとげしいな。もう一度書いとくけど、いい演技をしてる方もいるし、脚本もしっかりしてるからちょっとしたことですごく変わると思う。とりあえず、黒子はいないのか。