天使と悪魔

自転車屋のあとぶらぶらしてたらいい時間だったので、一旦帰ってから行くつもりだったけど、そのまま港北109に行って映画チケット買ってた。
以下、超ネタばれあり。





結論から言うと、かなり面白かった。映画の作中時間でほぼ一日。舞台となるヴァチカンに着いてからはほぼ5時間強くらいのとても短い時間で次々にイベントが発生して、息もつかせぬ展開のスピード感でありながら、上映時間2時間半なので、車での移動時間などを抜くとほとんど24ばりのリアルタイムな進行っぷり。そんなもんで詰め込んだ感もないのに情報量は多いという、満足感たっぷりな映画でした。それにしてもヴァチカンってほんとに狭いのな。1時間に一人ずつまったく違う場所で殺害されるということで、謎を解きながら移動して救出して行く訳ですが、大体一つの場所で指定時刻の前後10分くらい消費してるんで謎解きの時間が一人につき20分もないのに次々と解いて行く様はまるでクイズダービーはらたいらのようです。古すぎ。まあ、謎解きに一番時間のかかりそうな文献調査が異様に短時間というか、もともと答えの場所が分かっている教科書のページを開く感覚なんで、そこらへんだけはちょっとご都合主義すぎるかとおもった。ラテン語が必要な時にはラテン語読める人がそばにいたり、イタリア語が必要な時は必要な人がそばに居たりするのもね。というか、主人公が長年閲覧許可を願っているはずの資料を読めないってどういうことだよ。
ストーリーは、いまどきムーすら扱わないようなイルミナティキリスト教の対立とかスイスのCERN研究所が反物質製造してたりとかトンでも科学と陰謀論の話かと思ったら、二重三重のミスディレクションで作られたひどくどろどろとした現実的な話でした。現実的すぎて犯人が一人でなんでもかんでもやらなきゃならなくなって、全体を俯瞰してみると犯人が有能すぎてびっくりです。ジェバンニが一晩でやってくれました。ばりの行動の早さです。
犯罪を決心してから実行まで一ヶ月ということなんですが、その間にやったことを羅列すると

  • 犯罪計画を立案
  • 二週間で教皇聖下を毒殺
  • 暗殺者を探し出して契約
  • イルミナティの焼き印を探し出す、もしくは製造する

当然その間通常の役職も果たしているんだから凄い。というかこんなに急ぐ必要あったんかね。たしかに反物質製造の実験時期にあわせるとか言ってたけど、あれ?反物質実験そのものを崩壊させるんならCERN研究所ごと反物質で消滅させた方がいいんじゃねえ?あ、反物質が作れる事実がまずいのか。それなら反物質でヴァチカン吹き飛ばしたらもっと派手に知れ渡るだろうし。あれ?最後の最後の場面がどうも思い出せん。こいつが計算ずくで教皇になりたかったのか?どうもなんか行動に矛盾があるなあ。えーと、自爆しても良かったのだろうか。それならギリギリ理解できる。でもわからん。なんかだんだんわからんくなってきた。
さらには、いくつか納得できないというか謎が残っていたりもする。世界最高峰の研究所であるCERNに部外者がそう簡単に入ることなんぞ出来る訳ないし、あの部屋から出るのに眼球は必要なさそうなんで、眼球とともに死体も運んで行ったのか?というか実験の真っ最中なんだからモニターくらいしてんだろ。普通に考えたら反物質製造してる部屋の周辺に人が居ないなんて考えられん。もちろん製造中のチャンバーに人が入るなんて馬鹿なことは無いだろうけど、それならモニター室なりなんなりに人員を配置しとかんと危ないぞ。まあ、そこまで考証してないといえばそれまでなんだが、実行犯はあの男か?なんでもありだなあいつ。
とまあ、突っ込もうと思えば結構穴だらけなんですが、映画見てる最中は目まぐるしくヴァチカンの名所を回ってくれるのを眺めてるだけでも十分な気がしてくるからあまり気にならんかった。
そういえば、最後に反物質積んでヘリで上昇する場面があって、爆発したのは上昇し始めて2分も経ってないくらいだと思うけど、軽く検索してみても普通のヘリなら高度1000mにも達するのは無理な模様。というか、上昇速度500m/minとかやったら、軍用でもないと解体するとかしないとか。たとえ高度1000mだとしても、5kトンの爆発だったら半径1kmくらいは軽く爆圧だけで死ぬと思うんだけど、被害者0だったな。ちなみに不謹慎な話だけど広島型だと15kトンの爆発力で高度600mで爆発して半径2kmくらいの建物が全壊してます。まあ、爆発っていうのは基本的に上に行くのであんなもんかもしれない。まあ地下で爆発してたらヴァチカン市国は確実に消滅してたろうけどな。