東京桜組Vol15「風のクロニクル&虹のクロニクル」

ragi-jun2009-02-07

到着までごたごたがあって、序盤の20分ほど見逃す。なにを勘違いしたか銀座にあると思って、劇場の目の前の六本木通りを通過して銀座の交差点までいってから帰って来てなんとか入場。最初に通過した時は開演前だったというのにもったいない事をした。
そういえば最近のは新劇系の小劇場ものばっかりみてたから、こんな世情政情が根幹に関わるような反体制ものの戯曲みるの久しぶりで最初どこらへんを注目すればいいのか思い出すのに時間かかった。まあなんだかんだ言っても演技という面で変わる事無いんでそこらへんに気づいてからはすんなり観られた。
2時からの風のクロニクルは先に書いたように序盤を観ていなかったんだけど、世情がはっきりしている分、世界観を説明する時間を必要としないから途中から観ても問題なかったのはよかった。とはいえ、コレに観られるような反体制の叫びを叩き込むような戯曲は嫌いじゃないんだけど、学生運動ものはどうも感情移入できない。理由ははっきりしていて、安田講堂占拠などにみられるような篭城作戦などの苦労話についていけないから。というか戦略的に武力闘争を選び、戦術的に篭城を選んだ時点で勝ち目の無い事ははっきりしていて、勝ち目の無い戦に対して何を求めているのかがさっぱり理解できない。運動の目的はわかるのだけど、遂行の手段として無意味にすぎるため、一体何をやりたいのかやってる側ですらわかってないような行動がうすっぺらい。言い換えれば自己満足行動でお遊びにしか見えないので、すべての行動が滑稽に見える。篭城作戦というのは敵側に撤退する理由が発生する、もしくは援軍が来るの二種以外に勝利はないのであって、あんな場当たり的なバリケードなんて時間の無駄以外何者でもない。
とまあ、題材として感情移入できないんだけど、役者の演技は充分見応えがあった。正直言って年老いた役の人は台詞噛むわ間がおかしいわで白ける部分がなきにしもあらずだけど、全体的に声がよく出ていて、最後尾の席にも関わらずはっきりと届いた。題材に感情移入できなかった分、純粋に演技を楽しめた気がする。
その後、しばらく時間があったので、秋葉行ってちょっと買い物した後、赤坂で元祖油屋のあぶらそばを食ってから二部の虹のクロニクルを観る。
うわあ、いまどきこれだけコッテコテの反体制ものやるか、しかも若手集団の東京桜組で。これまで観て来た桜組の公演は多少政治色があるにせよ、それほどでもなかったのになにかあったんか、と思うくらいベタなものでした。しかしそのせいでこの脚本が薄っぺらい事のこの上無し。というかこれ古い脚本すぎてどうしようもなくなってる。まあ当時の世界観では正しい認識だったのかもしれんけど、とても正気とは思えない数字を疑問も無く信じてる活動家がいたんかよ。というかこういうのを一時でも信じて活動してた連中が上に居るんじゃ、新聞TVのあの報道もむべなるかな。すくなくとも若手が今やる内容じゃない。
まあ本来というか古来、演劇というものは娯楽として一面と表立って言えない意見のはけ口という面があって、すくなからず反体制発言があるものなんだけど、これは本で読んだ知識でしゃべってるだけ、のような薄っぺらさが拭えない。演技としてはこっちのほうが上な気がするけど楽しめるか、という点ではこっちは及第点に届いてない。というか客を選び過ぎだろ、この題材。元々こういうのしかやらない劇団ならまだしも一体何を考えてるんだろ。
それはそれとして演技としては先にも書いたけど、こっちのほうがレベル高いと思う。特に女性活動家二人の演技はよかった。ちょっと前の席に座れたのもあって、目線の動きとか小さい動きもきちんとしてるし、福圓さんの声の通りはあきらかに頭一つ抜けている。男性側は上手いんだけど役柄的にメインじゃないんでちょっと印象度が低い。それでもあちこちに狂気を感じさせる部分も表現できてて満足。
しかしこんなんやって、次に繋がるのかなあ。客層がかわりそうだ。