劇団キリン食堂 魔王と歌姫

今月三本ほど演劇を観に行く予定で、その一本目。某有名な銀河の歌姫*1なひとが出るとかいうもので、マクロスライブがとれなかった反動という訳ではないけど勢いでチケットをとってしまった。という訳でスペース107へ移動。
会場は見事に満員で、平の椅子席とかあってはっきり言って舞台が見えん。座った位置が悪かったが、これは演出側の配慮がほしいよな、というかこのハコは演劇には向かんぞ。というのは始まってから分かったことだけど、まあ開演前10分くらいに入ったので席を選ぶ余裕も無く着席して開演を待つ。そういえば、階段途中の花束にマクロスのラジオからとmixiのコミュから来てたな。
劇の内容は魔王にさらわれた歌姫を救いに行くという分かりやすいストーリーに殺陣のアクションやダンスをふんだんに散りばめた上に、シーンの途中途中でクラシックに歌詞を乗せたオペラを交えた、演劇の面白いところを詰め込んだようなアクションオペラと銘打った時代劇。聞いてるだけでゲップがでそうなほど美味しいどこ取りな作りで、音楽や照明などの演出で見せる派手派手なつくりの演劇をしばらく見てなかったので、目を惹く場面があちこちにあって面白かった。二時間という長丁場ですが、それほど退屈せずにみることができたんじゃないでしょうか。
とはいえ、そういう演出的なところを除くといろいろと粗いというかなんというか。そもそも国の皇子が死ぬシーンはさっぱり前後の事情が分からないし、派手なアクションでごまかしてるけど、裏切った理由は説明なし。毒の話も相殺するはずが元は水なら、自分で毒入れてるだけじゃね?とかそういうところがあちこちにあって勢い重視のホンだし、演技面で言ってもあまりぐっと来る人がいなかった。ハコのせいかは知らんけど、とにかく声が通らない。声の大小ではなく、しっかりと通る発声で発音してもらわないと、何言ってるか分かりづらいし表情が伝わってこない。表情と言えばアクションシーンで余裕が無いのかやたらと無表情な人がちらほらと。まあ笑ってたりするのもちょっと違うけど、どこをみてるかわかんない感じ。
そんななか歌のシーンでははっきりと確認できた訳ではないけど、マイクつかってるっぽい。おかげで急に声の張りが変わって感情のつながりが途切れるのがなあ。でも、さすがは元銀河の歌姫、歌はうまい、腹式の支えの聞いた朗々という謳い方でオペラ調の歌い方で響きが違う。「台詞は歌の様に、歌は台詞の様に」という表現があるが、ほんとに台詞部分を歌の様に支えた声でやってくれるといいのだけど、正直言ってあんまりうまくなかったな。主人公役の人達は声の通りもいい人がいて声量に関わらず表情が伝わるのだけど、どうにも役者が多いせいか差が大きすぎる。ほんとにハコのせいなんじゃなかろうか。
演技ということで言えば、他の役者さんだけど話の山場での壊れるシーンではもうちょっと壊れた感じが欲しかったな。もっとケラケラ高い声で無表情に笑うというか声だけで笑う感じが欲しかったよ。どうにもそこかしこに演技がなあ、というが多かった。まあここらへんは完全に個人的な好き嫌いなんでしょうがないけど、人数多くて見た目派手な割に、というのがどうしてもつきまとうな。もしかしてワークショップとかの人全員つぎこんだんだろうか。まあいつも見てるのが人数一桁の小劇場ものばっかだから余計にそう感じているのかもしれない。
動きも歌もあるし、いろいろ混じった時代劇と見所たくさんなので、まだまだ日曜日まで公演はあるようだし、興味がある人は観に行って損は無いとおもう。席は早くいかんと満席だとおもうけどね。あと、中島さんが目当てだったら最前列近くの席か、後ろの傾斜のある位置をとらんと後悔すると思う。客の目線を意識した演出してほしいなあ。しゃがむ演技はひな壇の上でやればいいのに。 あとマイク使うのは個人的にやだな。