トリコロ特装版 感想その一

カバーと帯、カバー裏にもそこかしこに気を配った作りは海藍先生らしさが出ていてそれだけで和みます。帯はまきチーが冷蔵庫にとっておいたプリンをにわちゃんが食べちゃった、というところだろうか。やたらと丁寧に小物を描くのはせんせの特徴だけど、書き文字にもいちいちキャラの個性が設定されてるあたり細かいなあ。
表紙はハイエナジー多汰美さんですが、これが通常版では多汰美さんになるので両方欲しいな。しかし、色の塗り方が芳文社版のコミックスと比べるとかなりの違いがあって面白い。一つの絵の中でも髪なんかはセル系のべた塗りなのに服は水彩系のぼけた色味が対照的で髪がなんか光って見えますわ。動きがあるのにゆったりした印象を受けるのは表情の柔らかさかな。多汰美さんだからなんとなく「時をかける少女」みたいなはっきりした笑顔に動きのある姿勢というのを予想してたけど、こっちの方が多汰美さんらしい気がする。天然発言するけど、むしろ落ち着いた性格なんじゃなかろうか、と思う不思議な人だから。
カバー裏は岐阜の平原に息づくジャガーさん。ピューとふけ。一二巻の雰囲気が残ってて嬉しい。
カラー絵は海老フライとパノラマ写真イラストとお皿。説明だけ聞くとカオス。それでもキャラの性格がでるようなお皿の絵はさすがというかなんというか。八重ちゃんはきちっとしっぽとへたを並べていて、にわちゃんも並べているけどそれは寄せているという感じ。多汰美さんは自由さはあるけどやっぱりきちんと並べていて、まきチーはしっぽまで食べる。幸恵さんとなごやんはトマトとエビのトレードというところで、親しみの深さとなごやんのかわいさというか、いい年の人がひとんちで海老フライの交換を持ちかけるあたり幼さじゃないかなあ。というところ。まず他の漫画家ならやらないな。まさかカラーイラストの半分がお皿と海老フライとはとんでもなく予想を裏切られましたが、多汰美さんのキャラ紹介ストーリー4コマを見てみたかったなあ。
高台から見下ろす4人のカラーイラストはキャラはもちろんですが、やたらと細かいところまで分かるように書かれた街並みがきれい。海と空の青がとけあう風景がある街ってうらやましいなあ。ほんとに長織市に行ってみたい。お名前にもあるように青の使い方にこだわりがあるので、せんせの描く特に夏の青い空の絵がすごく好きです。かまきりと対戦する八重ちゃんの絵はほんとにきれいな空だ。
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トリコロMW-1056 1 特装版 (Dengeki comics EX)