天然声優

声優に限らず、役者というものは表現に幅と深さが求められます。いわゆる幅というのは性格、年齢の違いをどれだけカバーできるかであり、深さはどれだけその役に説得力、感動を与えられるか、です。
そうした目線でいくと器用といわれる人は役に対してある程度の深さと広い幅をもった広い穴を掘れる人であり、対照的に個性派といわれる人はボーリングのように狭いけどとてつもなく深い穴を掘れる人と言えるでしょう。あらゆる役をこなし、常に画面に現れる人といろいろな役をこなすことは出来ないけど、役にはまった時には誰にも真似の出来ない感動を与えられる人。これらのいろいろな役者がそろってこそ劇が盛り上がるのだし、そうであってこそ役者がいる価値があります。
上記の認識から私的な声優さんの分類は天然、天才、秀才の三種類になります。基本的に生き残っている声優さんはすべて、平凡などではなく、その道の職人なので秀才が基点となります。その秀才集団のなかでも若くして多彩な役をこなす方を天才、個性派と呼ばれる方を天然と認識しており、天才は天然に勝てないといわれる*1ように天然声優の役にはまったときの印象は余人の及ぶところではありません。まあ、幅が狭いから出番はそれほど多くなかったりするのが珠に瑕ですけど。
で、現在もっとも天然な女性声優は広橋涼さんだと思ってます。基本的に器用でないと声優という薄給な世界で続けていくことは難しいと思いますが、このような個性派がいなくなると声優という芸能の価値が下がるでしょう。昨今、声優という職業が脚光を浴びる中こういう部分が改善されなければ、業界全体が地盤沈下するでしょう。

*1:どこかで聞いただけですが